日本ピスコ協会との連載企画 #2(ピスコサワーの日)
毎年2月の第一土曜日は、国が定めるピスコサワーの日です!2020年は2月1日でしたが、この日を祝うために、ピスコの生産地イカでは盛大なピスコイベントが開催されました。イカ市民の3分の1は足を運んだのでは?と思わず思ってしまうような盛況ぶり。あちこちで乾杯という意味の「Salud (サルー)!」という挨拶が飛び交っていました。
そもそもピスコサワーとは?
ピスコサワーとは、ペルーの国民的カクテルです。ペルー生産省がおすすめする公式レシピは以下の通り。(別途ウェブサイト参照)
準備するもの
- ピスコ(ケブランタ種)120ml
- ライムの果汁 30ml
- ガムシロップ
- 卵白 少々(10~20cc)
- 氷 5個
- アンゴストゥーラ・ビターズ 適量
作り方
- 材料を7~8秒ほどミキサーで混ぜる
- 混ぜた後、3回に分けてグラスに注ぐ
- 上部にアンゴストゥーラ・ビターズを数滴垂らす
ちなみにアンゴストゥーラ・ビターズとは、ハーブやスパイスから作られた薬酒です。家庭で購入するのは珍しいかもしれませんが、あれば本格的なピスコサワーになります。ピスコサワーに使うピスコは、「ピスコ用ブドウの女王」とも言われているケブランタ種がおすすめだそう。
ピスコの産地、イカで祝うピスコサワーの日!
ピスコサワーについて知っていただいたとこで、イベントの様子を少しご紹介。まずは、市長や州長らのあいさつ。この時点ですでに暑いです。どうやらピスコのイベントといえば、全身白がお決まりのスタイルの模様。
このイベントでは、イカ周辺のボデガ(醸造所)が集結し、各ボデガで製造されたピスコを使ったピスコサワーの試飲ができます。気に入ったピスコサワーがあれば、1ピッチャーにつき25ソル(約800円・小コップ付)程度で購入することができます。感動したのは、ここのボデガで使用していたのが紙コップだったということ!マイクロプラスチック問題を懸念するJICAボランティアの環境隊員から、「ペルーはプラスチックのコップばかりで紙コップを見たことがない」と聞いていたので、初めて出会った紙コップに、若干感動してしまったのはここだけの話。
イベント中は、ダンスや馬のショーなどを観ながらひたすらピスコサワーを飲みまくるという、なんとも素敵な(?)イベント。同僚が買ってきてくれたピッチャー入りのピスコサワーを、みんなで飲みまわします。
暑い日に、キリッと冷えたピスコサワーは最高!甘くておいしいのですが、ピスコ自体はアルコール度数が高いので、飲みすぎに注意。歩いていると、ボデガのスタッフが試飲を勧めてくるので、色んな味を試すことができます。
もちろん、各ブースではピスコのボトル販売もしています。(私もちゃっかり2本購入)そして気づいたら、また同僚が別のピスコサワーと共にやってくる。私が滞在していた約7時間、永遠にこのループです。おいしゅうございました。
お気に入りのピスコサワーを見つけたら、あとはドリンクを片手におしゃべりをしながら、踊るのみ!会場では、イカ出身のアーティストやコロンビアのアーティストが来てサルサ、クンビアなどを熱唱していました。しばらく会っていなかった元同僚とも再会したり、普段あまり話す機会が無い同僚とも打ち解けたりと、ピスコを介して地元の人とのつながりを感じられました。イベントは20時まで続き、終了時間には会場の照明が落ちるそう。
<結論:ペルーでピスコとは、人々の大事なコミュニケーションツール>
キリッと冷えたピスコサワーを飲みたくなってきたところで、また次回!
イカが誇る世界遺産「ナスカの地上絵」を観覧!
みなさんこんにちは!ワカチナ娘です。2019年にも、ナスカで研究を続けている山形大学が143点の新しい地上絵を発見したと発表した「ナスカの地上絵」。未だ沢山の謎が残されていますが、今回はイカが誇るこの世界遺産についてご紹介したいと思います。
ナスカへのアクセス
ナスカは、イカ市内からバスで2時間半ほどの場所にあります。リマからだと約7時間。ナスカの中心地までの道のりは、まるでアドベンチャー。ここはどこだろう?と思わず息を呑むような光景に沢山出会えます。あまり滞在時間が無い方は、イカにあるピスコ空港から(ナスカの町には降りず)ナスカの地上絵のみを観るツアーもありますが、その場合はナスカ発のフライトよりも値段が上がります。
地上絵の見方について
地上絵を見るためのオプションは、2つあります。1)ミラドールと呼ばれる展望台からの観覧と、2)セスナ機で上空から観覧する方法です。ちなみに、既存のミラドールは劣化が激しいため、日本からの援助を元に、2018年に新しいミラドールが完成しました。そして、そのミラドールの開会式が、2020年2月4日に行われました!(なぜ完成から開会式まで約2年を要したのかはわかりませんが・・・)
旧展望台(ミラドール)
新展望台(新ミラドール)
インスタ映え?おすすめ写真スポット
博物館に勤務している写真隊員の先輩に聞いたところ、ミラドール付近にある展望台(ナチュラル・ミラドール)がおすすめとの情報をキャッチ。写真隊員の先輩がすすめる写真スポットなら、是非行かねば!とのことで、展望台に行ってきました。
小さな2つの丘が連なっている展望台。砂でも石でもなく、岩山という印象。この丘に登れば、気分はまるでウルトラマン!いい大人がはしゃぎまくりました。
ミラドールまでのアクセス
ナスカの中心からミラドールまでは、タクシーで移動しました。バス(Soyuz社など)も運行しているので、途中乗車・降車することも可能ですが、バス停や時刻表があるわけでもなく、パンアメリカン・ハイウェイ上で直接バスを止めて乗車するので、少し難易度が高いかも・・・?という方には、タクシーがお勧めです。
セスナ観覧の注意点
セスナ機は何種類の地上絵を見るか、飛行の高さはどのくらいか、何人乗りかによって値段が変わります。また、季節によって料金も変動するようです。ちなみに、ピスコ空港発のフライトよりも、ナスカ発のフライトの方が、より間近で地上絵を見られるという情報もチラホラ。
セスナは、機体が何度も旋回するためとても酔い易いです。そのため、窓からの景色は、できるだけ片側の窓だけを観ているのがおすすめです。他にも、機内ではアルコールを含んだコットンをもらえる場合もあるので、気分が悪くなったらそのコットンを嗅いで吐き気を抑えることもできます。
ずっと見たかったハチドリ(中央右)。
ちなみに私は、移動疲れのせいかとても眠く、飛行中にまさかの寝落ち。パイロットが地上絵の観覧ポイントに到達した際のアナウンスで起き、写真だけ撮ると、再び寝落ち。「あんな状態で寝れるとは・・・」と同期に言われながらも、全く酔うことなく元気に生還したのでした。
Photo: Gobierno Regional de Ica
新展望台(新ミラドール)
住所:Panamericana Sur km 419
入場料:大人4ソル / 学生2ソル
日本ピスコ協会との連載企画が発足!#1(ピスコとは?)
お久しぶりです。実は今月から、一般社団法人日本ピスコ協会の方々にご協力頂き、青年海外協力隊×日本ピスコ協会の連載企画を始めることになりました!というわけで、今回は1)連載企画の背景、2)ピスコについて、3)初めてイカのピスコに出会った時、について書きたいと思います。
コラボレーション企画の背景とは?
遡ること約9ヶ月前。イカに赴任し、右も左も分からない全くの手探りの状態で、調査(統計、視察、ヒアリング等)を始めました。そこで少しずつ見えてきたのが、イカ観光業界の抱える課題。その一部がこちらです。
イカ観光業界の課題
- ナスカの地上絵などはあるが、国際的な知名度が低い
- ワイナリーツアーの強化をしたい
- ピスコやワインの産地として日本人に浸透していない
南米で最も古いブドウ畑を持つワイナリーがあり、国内でもトップクラスの品質を誇るイカのワインと地酒ピスコ。州としてもワイナリーツアーを強化したいのに、国際的にあまり知られていないのは、とても残念です。どうしたものかと考えていたところ、一般社団法人日本ピスコ協会の存在を知り、声をかけさせてもらいました。そして、担当者の方とやりとりを行う中で、日本のピスコ業界の現状を知りました。
日本のピスコ業界の課題
そこで、この観光ブログを通して1)少しでも多く現地のピスコや醸造所に関する最新情報を共有すること、2)ピスコの知識を日本語で発信すること、3)私の任期終了後もアーカイブとして情報がオンラインに残ることを目的に、連載企画の提案をさせてもらいました。今後はイカ観光の他、ピスコやワイナリーについても定期的に発信していくので、どうぞお楽しみに!
ピスコとは?
そもそもピスコとはなんぞや?と疑問に思ったあなた。ピスコとは、アルコール度数が約40%のブドウを原料とした蒸留酒です。色は透明で、ストレートで飲むとブドウの香りが広がります。特にピスコ・サワーはペルーの国民的カクテルです。生産地はリマ、イカ、モケグア、アレキパ、タクナの5カ所のみで、国をあげてその価値を守ろうという原産地呼称制度の一つにも登録されているため、ペルーではこの5ヶ所以外で作ったものを「ピスコ」と呼ぶことは認められていません。
初めてイカのピスコに出会った時
イカのピスコに初めて出会ったのは、まだスペイン語がおぼつかない赴任後4日目。当時、カウンターパート(配属先のパートナー)は産休に入っていたので、代理の男性職員が色々と助けてくれました。冗談ばかり言っていたので、敬意を込めて名づけたあだ名は、ペルーの明石さんま(そして本当に似てる)。彼に土曜日は空けておくようにと言われたものの、何度聞いても一体何をしに行くのかが分からない。ようやくわかった事は、「どうやらピスコの試飲会があるらしい」ということでした。
ピスコの産地でのピスコデビューが自分の予想よりだいぶ早かったものの、面白そうだと快諾。「絶対に来るんだよ!」と何度も念を押されたため、若干不思議に思いましたが、なんとか会場へ。そこで目に入ったのは、「審査員」の文字。全く知らずに参加したわけですが、ようやくこのイベントが「世界一で一番多くピスコの試飲をする」というギネス記録への挑戦だと知ったのでした。参加者は主に、州政府関連の機関で働いている職員やその家族、友人など。何度も来るように念を押したのは、そういうことだったのか!
というわけで、全く予想していなかった形でギネス記録に挑戦することとなったのですが、試飲大会中は、3種類(品種:イタリア・ケブランタ・トロンテル)のピスコプーロ(単一種のブドウからできるピスコ)をストレートで試飲しました。
初めて嗅いだときは「なんだかアルコール度数が高そうなお酒・・・」というど素人の感想しか言えませんでしたが、一杯目のイタリアから試してみることに。喉がじわっと熱くなった後、口の中にふわっと残ったのは、豊かなブドウの香り。とてもフルーティーで美味しい!二杯目のケブランタは対照的に、スッキリとした味わいで辛口という印象。三杯目のトロンテルは、フローラルな香りに柑橘系のフレーバーが加わり、ほんのりと甘さが残るような味わいが魅力。個人的には、芳香な香りを楽しめたイタリアが一番好みでした。
全ての試飲が終了し、発表された最終的な参加者は899人ということでギネス記録は無事達成!後半はもはや、人数確認のために途中退出ができず3時間トイレを我慢しなければいけなかったことしか覚えていないのですが、その後は地元のダンスや州知事の挨拶、シンガーによるライブなど、大盛況で幕を閉じました。というわけで、イカでの初めてのピスコ体験は、勘違いと混乱とサプライズに包まれた、忘れがたい思い出となったのでした。
当日の様子(動画)はこちら
photos: https://pisco.net.pe/