現地観光局員によるペルー・イカ観光のすすめ

2019年から青年海外協力隊員として、Ica州政府観光局で働いています。観光局員の目線から、ペルーの魅力について発信中!

観光隊員って何をするの?

青年海外協力隊で赴任するという話をした時、よく聞かれたことは、「赴任先は自分で選べたの?」「観光隊員って、どういう仕事をするの?」という質問です。なので、今日はそのことについて書きたいと思います。

 

応募について

募集案件はこのサイトから一覧リストを見ることができます。ちなみに応募の時点では、1)配属先の詳細と要請内容2)必要な実務経験3)活動使用言語と生活使用言語(共通語と現地語など異なる場合がある)、4)使用できる機材や設備の詳細5)水道や電気などは整備されているかの有無などが記載されています。

そのため、自分の行きたい国に行けるわけではなく、自分に合った要請が出ている地域に絞って応募し、その要請内容や応募者の適正に基づいて、最終的にJICAが判断するというのが主なプロセスになります。この「適正」についてですが、面接官は応募者のストレスマネージメントも重視しているため、例えば、応募者の趣味が「ジョギング」であるのに任地が徒歩移動禁止エリアの場合(あまり多くはないようですが)、JICAは別の任地の方が適していると判断することもあるのです。

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 赴任前の要請内容について

要請内容がJICAに渡ってから私が赴任するまで、約2年。赴任した時には、要請を出した観光局のディレクターはもうすでに退任していたため、ゼロからの出発でした。赴任前の要請内容は、体験型アクティビティのルート開発プロモーション強化エコツーリズムにも興味があるとのことでした。具体的な内容は、以下の3つです。

  • 州内にある観光資源の発掘調査(現状:行っている)
  • 観光カレンダーや観光マップの作成協力(現状:調査の結果、行わない予定)
  • 体験型観光ルート開発への協力(現状:行っている)

 

 大切なこと

協力隊では、要請内容通りにやることよりも、現地の本質的な問題や予算状況、協力者の有無、民間企業との連携、スタッフのやる気(実はこれが一番大切)などの現状を見極めて、それを解決または改善するために何をすればいいのか、そして何ができるのかを一緒に考えていくことが求められています。現地では、何度も「何をしに来たの?」と聞かれましたが、私はそれを探すために来たのです。

次は実際にやったことについて、もう少し詳しく書いていきます。

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 ステップ1. 言語の上達・人間関係の構築や組織の把握(赴任後1~2ヶ月目)

言語習得は時間もかかる上に忍耐も必要。とても孤独な作業です。日本では私語をせず、ひたすら作業をすることが良しとされていますが、こちらでは「コミュニケーションを遮断している怪しい人」として見られることがあるため、とにかく最初は居心地悪く感じても、積極的にコミュニケーションを取るよう過ごしていました。また、頻繁に「何をしにきたのか」と質問されたものの、会話の中では思うように伝えることが難しかったので、今後の活動プラン(下図)をWordにまとめ、配属先に配りました。(これで一通りの質問攻撃は落ち着いた)

この頃の仕事内容としては、どんな資料があるのか、データはどこに収容しているのか、オフィスでは誰がどんな役割を担当しているのか、観光名所はいくつあるのか、観光客数はどのように調べているのか、マップはどこに何種類置いてあるのか、各機関の役割など。とにかく調べられるところから情報を集め、自分なりに収集データをまとめていきました。なにせ言語の問題があるので、どの作業も時間がかかるのです。

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 ステップ2. 現場の調査・ニーズ把握/ノウハウ集め(2~3ヶ月目)

ある程度、配属先の組織や観光名所について把握してきた頃から、現場調査に入りました。最初は、当時環境隊員としてお世話になっていた先輩隊員のサポートもあり、市役所リサイクルセンターの訪問、市役所観光課の担当者へのヒアリングをしました。その後は主要バスターミナル市内の観光名所醸造業界の担当者とコネクションを築くなど、少しずつ視察場所を広げていきました。なにより、これまでの会社勤務とは異なり、手探りの中から全てを立ち上げるということが初めてだったので、先輩隊員らの活動記録が掲載されているJICA発行の誌面クロスロード」を片っ端から読みながら、ノウハウを集めて参考にしました。

それらをもとに、自分には何ができるのか、何をすれば状況を改善できるのか、根本的な原因は何なのかを、前職でもお世話になったSWOT分析を取り入れながら、リストアップしていきました。

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 ステップ3. 状況に応じたプロジェクトの提案準備(6ヶ月目以降)

度重なる人事異動により、なかなか配属先での活動が難しかったため、2~3ヶ月目に出会った醸造業界の担当者A氏と提携してプロジェクトを立ち上げることにしました。またこの時そのA氏に、4ヶ月目以降から活動場所を広げることを提案されたため(といっても、とても軽いノリだった)、今は週に3回イカ州政府通商観光局(分野:観光)、週に1回イカ商工会議所(分野:商業)、週に1回生産省管轄の農業加工・技術革新センター(分野:農業・商業/以下CITE)という具合で働いています。

技術革新センターでは、ワインや地酒ピスコの研究が行われているため、全体の活動は1)ピスコを用いた商業および観光プロモーションの促(分野:観光・商業)にフォーカスしていくことにしました。加えて、2)異文化理解を深めるための日本文化紹介(分野:JICA事業の目的)や、3)エコツーリズムに関する活動(分野:観光)も大切だと思っているので、それに関するイベントや自分に出来ることなどがあれば、積極的に参加したいと思っています。方向性が定まってからは、共同プロジェクトのアイデアを思いつく限り出しながら、一般企業や一般社団法人など、協力者を求めてコンタクトを取り続けました。

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ここまで文字にすると淡々としていますが、スムーズに行かなかったことは沢山ありました。現に、今活動の中心となっているA氏も、来年3月でいなくなってしまうとのこと。というわけで、ようやく活動が動いてきたと思ったら、また振り出しです。でも、それもある意味想定内(笑)とりあえず、複数のオプションを作っておいてよかったです・・・。

 

現在の仕事内容(赴任6か月以降~)

基本的に普段の仕事内容は、提案したプロジェクトのコーディネートや、観光ブログの執筆、観光局に来た観光客(外国人観光客含む)の観光案内コラボレーターの新規開拓、プロジェクト用のプレゼン資料作成観光業界の動向を把握するためのデータ調査JICA関係の提出資料の作成観光関係のイベントへの出席、ピスコに関する記事やデータの収集活動日誌の作成(といっても個人用の簡単なもの)、月刊報告書の作成(職場用)などをしています。赴任して9ヶ月目ですが、まだ分からないことは沢山あるので、情報収集には比較的時間を費やしています。

 

このような感じで、日々一歩進んで二歩下がりながら、活動しています。観光隊員といっても赴任先によって活動内容は全然違ったりするので、あくまで一例としてですが、大体どんな事をしているのか、理解して頂けたら嬉しいです。